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プラスワン思考

[ 神宮律子のエッセイ ]

 今年の元旦は、残念ながら東京での初日の出は拝めなかったようです。あの有名な六本木ヒルズの高層ビルでは、初日の出を見ようと大勢の人が詰め掛け、テレビでインタビューの模様が映し出されました。

 その時インタビューされた2人の対照的な答えが印象に残りました。60代の男性は「折角高い所まで上ってきたのに初日の出が見えなくてとても残念です」そして、20代の女性は「初日の出は見えなかったけど、元旦からこんな素敵な東京の景色が見られてすごく良かったです」 と答えていました。同じ景色なのに、この高層ビルから下りた2人の気 持ちは確実に違ったものになった事でしょう。

 「プラス思考で物事を考えましょう。」と良く言われる事ですが、やはり意識しないと知らず知らずにマイナス思考になっている事があります。私も意識しなければ、60代の男性と同じ答えをしたと思います。

 例えば食事に行ったとき時も、食べた全てのメニューが美味しくなければ、「あまり美味しくなかった」という発言をしている事がありました。たった一つでも美味しければ「あのデザートは美味しかったよね」と言えば良いのに、欲張りな自分がいます。色々な経験をし、良いものとめぐり合う事は大切な事ですが、贅沢になってしまい、感動が薄れてしまうのは怖い事です。

 本を読んだ時に、たった一つのフレーズでも印象に残ればそれは大きな財産になる。そう思うようにしたいものです。人に対しても、完全な人などいないのだから、たった一つでも良い所を見つけようと思えば、人とコミュニュケーションを取ることが楽しくなります。「一つくらい」「たった一つ」という表現があるのですから、一つだったら何とか見つけられそうです。

 研修やセミナーは、盛りだくさんの内容ですが、特に企業研修では、終了すると安心して何も残らないという事があります。仕方なく研修を受けている人は特にそうかもしれません。

 私は、研修の際には受講者の方に対して、「一つでも良いので、印象に残るものを見つけようという気持ちで臨んで欲しい」と伝えています。もちろん私自身も、受講者が「一つでも成長を感じる」と思って頂けるよう、一所懸命取り組んでいます。

[ 筆者:神宮律子 ]
[ 2006.1.20号 第19号掲載 ]

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