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荒川選手が教えてくれたこと

[ 神宮律子のエッセイ ]

 トリノオリンピックで勝ち取った荒川選手の金メダルは、人々に様々な事を教えてくれました。私にとって印象に残ったことは、フィギュアスケートの採点方法が変更になった事に伴う、荒川選手の取り組みでした。今やイナバウアーは荒川選手の代名詞になっているようですが、 個性的なイナバウアーの背景には、荒川選手の苦悩と、挫折がありました。

 苦悩の中で、荒川選手は採点方法が変わったという事実をしっかり受け止めようと努力し、一旦自分のこだわりを捨て、高い得点を獲得する演技に没頭したそうです。荒川選手の取り組みを知った時に学生の就職活動が思い出されました。

 すでに就職活動が始まっていますが、企業に採用される為には、どのような事を意識しなくてはならないのか?就職対策の本も出ていますが、果たして企業の求める人材を研究しているのかと疑うことがあります。私は以前に会社勤めをしている時に面接官を担当していたことがあり、今も新卒採用に関わる仕事を時々担当しています。評価方法は色々あるものの、新卒に求めることで共通していることは、元気の良さや明るさそして礼儀正しさです。

 しかし、明るい返事がかえってくる事は極めて少ないのが現状です。先日、グループディスカッションを担当した際も学生からの返事が少なく、私の説明に対して元気な返事で反応してくれたある男子学生がとても新鮮に思えました。思わず「ありがとうございます」とお礼を言ったほどです。この簡単そうに思える返事ですが、日頃からしていないと急にはできないものです。元気な返事ができるように、日常生活において心がけることで、いざという場面で相手に与える好感度は高くなると思います。

 また最近の流行なのか、男子学生においては髪がボサボサで、モミアゲが極端に長い人が何と多いことか?身だしなみをきちんと整えて就職活動をするのは基本なのですが、ヘアスタイルには各自こだわりがあるようです。中高年に受ける清潔感あふれるヘアスタイルをしている人は、それだけで好感を与えることができるのに、とても残念です。もちろん業種にもよりますが。

 どのような人材を企業が望んでいるかを真剣に考え、努力して近づける。それは、相手がどのようなことを望んでいるのかを知り、相手に合わせることができるということで、恐らく会社に入っても、お客様や上司、先輩、同僚とのコミュニュケーションがスムーズにできるということです。今年の求人募集は景気回復を受けて、企業の採用人数もかなり増えています。しかし、企業が求めている質は変わらないそうです。

 個性を大切にと言われますが、まずは自分のこだわりを捨て、相手のニーズにとことん応えるように取り組む。そうすることで、荒川選手のように金メダルを獲得するという結果につながるのではないかと思います。


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