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イライラさせないコミュニケーション・マナー

[ 北野愛季のエッセイ ]

 みなさんはイライラしている時に、ちょっとした思いやりの一言で、それまでの苛立ちが嘘のように、穏やかな気持ちになったことはないでしょうか。

 私がそれを実感したのは、昨年末、年の瀬も押し迫った、12月30日のことでした。お正月の和菓子を知人宅に送ろうと、デパートの老舗和菓子店を訪れました。するとお店の前は長蛇の列。その後に予定が入っていたので時間が気になりました。しかし本日中に注文しないといけないと思い、少し焦りながらも列に並んでいました。

 こんな時にかぎって、私の2人前の人が複数の発送注文をしたために、店員がもたもたしてしまいました。やっと自分の番がきました。発送を申し込むと、アルバイトらしい女性店員が、「今日の申し込みです
とー、発送は1月6日になっちゃいますけどー、いいですか…」と、めんどくさそうな口調で応対しました。

 その時私のイライラが頂点に達しました。憤慨し、私はしばらく黙り込んでしまいました。そのことに気付いたのでしょうか、正社員らしい男性店員が即座に私に向かって言い直したのです。

「お客様、年末のお忙しい中、わざわざお越し頂いたのに、たいへん申し訳ございませんが、年内の発送がいっぱいになってしまい、年明け6日の発送となります。こ理解頂ければありがたいです。誠に申し訳ございません。」

 この言葉を聞いて、私の爆発寸前の気持ちがおさまりました。なぜなら、年末の忙しい時にわさわざ来ていることを、この男性店員はわかってくれたからです。もちろん言葉だけではなく、その声と言い方にも、申し訳ないという気持ちが表れていましたし、頭の下げ方にも誠意を感じたのです。

 私はその時、この男性店員がその場にいなければ、このお店にはもう買い物をしに来たいとは思わなかっただろうと感じました。しかし同時に、私も「お忙しい中ありがとうございます。」などの、ちょっとした思いやりの一言を添えるだけで、人の心を穏やかにすることができるのだと気付きました。このことに気付かせてくれた男性店員に感謝しています。
 あなたも、ちょっとした思いやりの一言をコミュニケーションの潤滑油として使ってみてはいかがでしょうか。

[ 2006.2.20号 第20号掲載 ]

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