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「喝」を入れたい人たち

[ 大嶋利佳のエッセイ ]

 私には、最近大変気になり、もし可能であれば「こういう人には一度びしっと喝を入れてやりたい!」 と思っていることがあります。

 それは、電車の中や公共の場で、堂々と大あくびをする人です。

 最近、見ていますと、あくびをする際に手で口元をおおったり、うつむいたり、あるいはなんとか口を閉じて我慢したりして、あくびを隠そうと努力する人はほとんどいないようです。

 私はこのことは「電車の中で平気で化粧をする」よりよっぽど問題だと思っています。化粧をするのは一部の女性だけですが、あくびをするのは男女、年齢を問わないからです。

 最もだらしなく緊張感のない、しかも大口を開けた自分の顔を公共の場に無防備にさらすことに抵抗を感じないとは、こういう言い方は好みませんが「日本人は堕落した!」と言いたくなります。

 以前、やはりこのことに怒って『男はあくびするなって「葉隠」にも書いてある!』と言っていた男性がいました。葉隠とはいささか古いようですが、でも私もそう思います。

 電車で乗り合わせた人にはさすがに言えませんが、研修中であれば「びしっと喝を」入れてしまいます。「その場の雰囲気をたるませ、周囲にやる気のなさをまきちらし、その上高い費用をかけてこの研修機会を作ってくれた経営者に失礼だ。また指導者であり、外部の人間である講師の前であくびをしてなんとも思わないようでは社会人失格。

 眠いなら顔を洗ってきなさい!」と厳しく叱ります。「寝不足だから」「疲れているから」などの言い訳はいっさい聞きません。

『自分では「生理現象だから。悪気はないんだし」と思っていても、周囲には「やる気がない。退屈だ」というメッセージを発信している。自分の「つもり」と周囲の受け止め方のギャップを理解し、周囲に誤解や悪影響を与えない行動を取るのもコミュニケーションの勉強。言いたいことがあっても黙って「申し訳ありません」と反省するのも社会人の勉強』だからです。

 できればこういうことを電車に乗り合わせた人にも言いたいのですが・・・。電車の中は職場ではありませんから、どんな様子を見せていてもその人の勝手です。しかし、朝からマンガ雑誌を広げ、大あくびをしながら会社や学校に行く人ばかりの世の中には、私はなって欲しいと思いません。

「大人が人前で、しかも朝から漫画を読むのは恥ずかしい」
「あくびをするのは見苦しい」

 そういう常識のある世の中になって欲しいのです。そのためにも、せめてできるだけ「びしっと言える場」つまり研修の場をたくさん持ち、そこで微力を尽くしたいと願っています。

[ 筆者:大嶋利佳 ]
[ 2004.11.20号 第5号掲載 ]

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