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HOME >> 話し方エッセイ >> 大嶋利佳のエッセイ >> 言葉は着替えられるもの

言葉は着替えられるもの

[ 大嶋利佳のエッセイ ]

 先日、またある女性向け雑誌から取材を受けました。このとき、取材の方からこう尋ねられました。

「いつでもきちんとした言葉遣いをしなければならないものでしょうか。場合によっては相手から冷たいと思われたり、堅苦しいと思われることもあるのでは?」

 こういうお尋ねはもう何回も受けています。その度にこうお答えしています。「私たちはTPOに合わせて服を着替えますよね。そのように言葉遣いも着替えればいいんですよ。言葉遣いだって、1種類だけをずっと使うものじゃなくて、変えられるものでしょう?」

 こういうと、たいていの方はびっくりされます。中には、こう応じた人もいました。

「そうですね!言葉遣いを変えたからって、二重人格ってわけじゃないですもんね!」

 これには私の方もびっくりしましたが、しかし、考えてみれば私たちには、こんな思い込みがあるのではないでしょうか。

 「話し方は性格を反映している。普通、性格は1種類、だから話し方も1種類だ」。このことは例えば「堅苦しい言葉遣いは苦手。私はフランクな性格だから」「気が強いせいか、ついキツい言い方になってしまう」といった、性格と話し方を結びつけた言葉がよく聞かれることからも分かります。

 ですが、本当に話し方は一種類しか使わないものでしょうか。誰でも上司と話すときと、5歳の子供に話すときとでは、言葉遣いを変えます。仕事場から家に帰れば、言葉遣いは自然に変わります。同様に「友達と」「年配のお客様と」「初対面の人と」「部下と」・・・と相手によって、あるいは「会議で」「デートで」「電話で」と場面によって、言葉を変えることができるはずです。これができるかどうかは、言葉の知識、選択肢を持っているかどうかの問題で、性格とは関係がないのです。

 ところがこの選択肢が狭いと、上司に向かっても、初対面の人に向かっても、友達相手と同じような口の聞き方しかできないことにもなります。

「これって、例えば、披露宴に呼ばれたのに普段着のジーパンしか持っていないってことですよね、それじゃ困るでしょう」。こういうと、女性雑誌のライターさんは「なるほど!そうですよね!」といたく感銘した様子でした。

 女性雑誌の取材が増えていることもあり、私も女性の話し方には今大変関心を持っています。これからも「言葉は着替えられる!服やメイク道具を買い集めるように、言葉の選択肢も増やしましょう!」と発信してゆきたいと考えています。

[ 筆者:大嶋利佳 ]
[ 2005.2.20号 第8号掲載 ]

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