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連立方程式

[ 大嶋友秀のエッセイ ]

 春です。4月です。あらゆることが新しくなり、始まります。

 私たちスピーキングエッセイも新しくなりました。それは、私(大嶋友秀)が、4月1日より、代表取締役社長に就任をいたしました。大嶋利佳は、取締役講師代表という役職にて今後、講師養成を中心に活動をいたします。

 また、あらたに取締役として、安部雅文(三菱信情報システム㈱元常務取締役)を迎え、新しい体制で事業を行ってまいります。

 今後共ぜひ皆様のご支援・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

 さて、巻頭エッセイとして、私がいつも研修の最初に話すことを述べさせていただきます。それは、「コミュニケーションの連立方程式」と私が呼んでいるものです。

 「連立」ですから、二つの式があります。第一の公式は、「コミュニケーションはスキルである」というものです。コミュニケーションは、才能でも個性でもありません。あくまでスキルなのです。だから、学ぶことができます。自動車の運転免許と同じです。才能や個性など関係ありません。もちろん、自動車の運転が本当に上手でレーサーになれるような人もいるでしょう。また、よほどのことがないかぎり助手席に乗るのは遠慮したいと思わせる運転技量の人もいるでしょう。

 コミュニケーションも上手な人もいれば、あまり上手ではない人もいます。それでも、スキルであるという認識を持って訓練すれば間違いなくそのスキルを身に付け、ある程度は上手に使うことができるのです。ただ、この認識を持つことは案外とむずかしいように思えます。

「あの人は、弁が立つけど…私はそうじゃないし…」
「あいつは口だけは達者だけど…」

 そんな言い訳からは、コミュニケーションのスキルを身につけたり向上させたりするという考えが出てこないのです。コミュニケーションはスキルです。だから、身につけることができるのです。この認識がどうしても必要な心構えになるわけです。

 第二の公式は「コミュニケーションは習慣である」ということです。「習慣」というのは、その人がこの瞬間まで生きてきている年月をかけてつくった習慣ということです。私ならば、46年の歳月をかけて、今の話し方、今の語彙、今の考えなどがあります。自分にとって一番楽に対応できるように癖付けされてきたわけです。だから、コミュニケーションは習慣なのです。そのために、習慣を変えるのは簡単ではありません。たくさんあるビジネス書の中でも「習慣」にかかわるものはたくさんあります。それは、習慣を変える必要性があるけれども、実際には習慣を変えられない人たちが大勢いることをあらわしています。

 ではどのようにこの「連立方程式」を解きましょうか。答えは単純です。

 それは、コミュニケーションのスキルを体得するためには、時間とエネルギーがかかる。しかし、かならず、良い結果をもたらすということになります。どこの書店でも、「5日で身に付く」「すぐに身に付く」など思わず買いたくなるような魅力的なタイトルの本が山積みされています。しかし、現実はそんな簡単なものではありません。

 私が行う研修の目的は、この「コミュニケーションの連立方程式」を研修の開始時に 知ってもらい、研修を通じてその意味合いを「気づいて」もらうことなのです。そしてこの考え方は、研修に参加する、しないに関わらず、誰にも必要なものです。

 コミュニケーションはスキルであり、習慣なのです。

[ 筆者:大嶋友秀 ]
[ 2005.4.20号 第10号掲載 ]

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